第160章 なぜ彼女を信じなければならないのか?

玄関をくぐる前に、有岡哲哉はこのやり取りを頭の中で一度なぞっていた。

西川安菜の返しは、彼が予想していたとおり――寸分違わない。

まずは「何も分からない」ふり。

次に責任転嫁。

最後に被害者面して泣き落とし。

そう思った矢先、西川安菜が口を開く。

「哲哉兄さん、姉ちゃんから何か聞いたんですか? 私、姉ちゃんと私の間に誤解があるのは分かってます。でも……あんな大きなことだって私、我慢したんです。姉ちゃんだって、少しくらいは私のことを思ってくれてもいいのに」

言いながら、彼女の瞳はみるみる潤み、涙が膜を張った。

「哲哉兄さん……それとも、姉ちゃんは今でも、私がここにいる資格がない...

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